レビューサンタフェ(Review Santa Fe)2013 メモ3

アートは経済的に豊かな環境下でないと育まれないという説がある。確かに専門教育を受けるにも、先の見えない創作活動を続けていくにもお金がかる。


そう言われてみると、レビューサンタフェに参加していた写真家たちも皆、どこか豊かな雰囲気を醸し出していたように思う。ちゃんとした場だから服装もTPOに合わせて、ということもあるだろうけど、どうもそれだけではなさそうだ。いわゆる、衣食住を削ってひもじい思いをしながら写真やってますという感じの人がいない。


一人、ヒゲもじゃでしわだらけの黒いシャカシャカの上下を着て、泥だらけのバックパックを担いだ写真家がいた。なんとなく親近感が湧いて彼と話しをしていたら、バックパックからピカピカのキャノン1Dx(多分60〜70万円するカメラ)がゴロゴロと2台出てきて驚いた。なんだ金持ちなんじゃん・・・。彼の作品を見せてもらったら、刑務所や暴動などを撮ったバリバリハードなものだった。NYに住んで奥さんは会計士らしい。レビューの途中から奥さんも合流して夫婦でサンタフェを楽しんでいるようだった。



そもそもレビューサンタフェに国内から参加するだけでも結構なお金がかかるし、レビュアーもアート界の第一人者たちで、彼らと対等に接していくにはそれなりの知識教養も必要なんだろうと思う。こうした土俵に立つにはそれなりの基盤をすでに持っているということなのかもしれない。


皆どことなく垢抜けているというかスノッブな感じで、気のせいか顔つきも穏やかだし、気負ったところや卑屈な感じがまったくない。
日本と違ってアーティストが社会の中できちんとリスペクトされる立場にあるということも理由の一つではないだろうか。


僕は毎日、密かに参加者100人の服装をチェックした。みんな靴がきれいだ。アーティストの集まりとはいえ、奇抜な格好をしている人はいない。そして決して華美でなく、サイズの合ったシャツとパンツを履いて小ざっぱりしている。Tシャツでレビューに臨んでいたのは僕を含めて2〜3人だった。いいわけがましいけど、一応おろしたてにした。ユニクロだけど。


そういえば、マーティンパー系のドギつさにさらに強烈なラブリーさを加えた写真を撮っている若い女性写真家(僕の中では彼女を「ラブリーパー」と呼んでいる)と話していたときのこと。
LP「いい色ね、そのTシャツはどこの?」
僕「ユニクロだよ。知ってる?」
LP「もちろんよ、メイドインジャパンじゃない!」
僕「ノー!メイドインチャイナ」
LP「・・・」
本当にどうでもいいことだけど、その時の微妙な空しさが妙に印象に残っている。
ラブリーパーとはどこかでまた会うような気がしてならない。