アルルフォトフェスティバル2013(Les Rencontres d’Arles)

アルルのフォトフェスティバルに行ってきた。
正式にはLes Rencontres d'Arlesという。地球の歩き方フランス版にも紹介されている世界的に有名な写真祭。南仏プロヴァンス地方のアルルで、気候のいい7月に毎年開催される。
十数年ぶりのフランス、初アルル。シャルルドゴール空港のロビーや駅のホームのデザインにいちいち驚く。一言で言うならカッコいい。便器までカッコいい。人もカッコいいので、空間と人が相乗効果をもたらして二乗にカッコいい。



パリからTGVと在来線を乗り継いでアルルに向かう。アルルといえばゴッホ。跳ね橋や病院、カフェなどが名所として残っている。車中から点在している広大なヒマワリ畑が見える。南仏の強烈な日射しの下でグルグルワサワサと生えるヒマワリ。その昔ゴッホも同じ光景を見ていたのかと思って感傷に浸っているとアルル駅についた。拍子抜けするほど地味で小さい駅舎。重たいスーツケースをゴロゴロ引っ張って徒歩で会場に向かう。起伏が激しくて歩いてきたことをちょっと後悔した。いたるところに写真祭のポスターが貼られていて、街をあげての祭りであることがわかる。またゲリラ的に電柱や標識に写真をベタベタと貼っている人もいて、「写真の街」と化していた。



会場は20〜30ヶ所に点在している。展示場、ブックフェア、ポートフォリオレビュー、スライドショー、ワークショップ…滞在した一週間では回りきれなかった。中にはバスで40分も離れた村でスライドショーも行われていたらしい。
アトリエと呼ばれるメイン会場は広大な工場跡地をそのまま展示に使っており、ここだけ見てもゆうに3時間はかかる。
この時期の南仏は夜の9時過ぎまで明るいため、午前中から夕方までたっぷり展示を見て、ゆっくり夕食をとり、更に日が暮れてからスライドショーを見たりしてあっと言う間に真夜中になる。



僕は毎朝7時起床、8時朝食、10時会場入り、Zen foto galleryブースでお手伝いしながら自分の写真集を売り、午後は展示を見て回ったりポートフォリオレビューを受け、夕方からは何人かの写真家と夕食を食べ、どこかのスライドショーやパーティーに参加して夜12時過ぎに宿に帰るという毎日だった。まさに写真三昧。


会場や町なかでティルマンス森山大道杉本博司と普通にすれ違う。ポートフォリオを抱えてカフェにいけば、隣りにいるおじさんから見せろと言われる。パーティーで酔っぱらいに絡まれたかと思うとそれが有名な写真家だったりする。すごい場だった。



ある日本人男性と知り合った。彼女といっしよにフランス旅行に来てアルルに立ち寄ったという。特に写真に興味があったわけでもなく、たまたま写真祭をやっていたので会場を見に来たらみるみるうちに写真の世界にハマってしまったという。連日会場に来て朝から晩まで展示を見ていた。思わぬところで足止めをくった彼女は呆れていた。
写真に馴染みのない人、初心者、アマ、プロ、観る人、撮る人、買う人など、どんなレベル、どんなフェーズの人でもバッチリ飲みこんでくれるところがこの祭りのすごさだと思う。

ポートフォリオレビューや展示の詳細については、また後日書こうと思う。