Photolucida Critical Mass(フォトルシーダクリティカルマス)TOP

アメリカのPhotolucidaが主催する写真家コンペティションCritical massの今年のTOP 50が発表になった。Critical massは10年の歴史がある全米屈指の写真コンペティションで、審査をするレビュアー陣の顔ぶれがすごい。


8月、25人の審査員による一次審査でファイナリスト200人に絞られた。その後、ギャラリスト、キュレーター、エディターなど200人(なんと写真家と同数!)のレビュアーが二次審査を行って11月にトップ50が決定した。あわよければ200に残れればいいなと思っていたし、面対式ではないものの200人の一流レビュアーに自分の作品を見てもらえるだけでも大きな価値がある。まさか50に入れるとは考えていなかった。



今、なぜ選ばれたのかという自己検証をしている。アメリカという土俵の上で自分の作品がどう位置づけられ、どう解釈されているのか…この検証は自分の頭の中でゆっくりするとして、一方で感じている一つの「流れ」がある。


今年の6月に参加したReview Santa Feのレビュアーの多くが、このCritical massにおいてもレビュアーを務めていたこともあり、「ああこの人、この作品ね」と印象を強めたこともあったのではないだろうか。それが証拠に、TOP 50の発表がされると途端にコネクションのある何人かのレビュアーからお祝いのメールをいただいた。また、TOP 50の写真家には、審査の際に書き込まれたレビュアーからのメッセージが後日事務局から送られてくるのだが、「あなたの作品はSanta Feで見たから、2度目ね」といったものがあった。このレビュアーに面識はなく、今年のSanta Feでもレビューをしていないので、おそらくReview Santa Feのサイトで参加作品を見ていたのではないかと思う。


きっと、アメリカの写真家はこのようにしてレビューやコンペなどに繰り返し参加するなどして露出度を高め、全米写真界における知名度、認知度を上げていくことを日々しているのではないだろうか。そうした動向が感覚的にわかっただけでもとても勉強になった。僕の場合は、Review Santa Fe参加、コロラドでの展示、photo eyeによる写真集紹介など、たまたま短期間でアメリカでの露出が高まったこともCritical mass Top 50に作用したのではないかと思う。


また、驚くべきことに今年のCritical mass Top 50のうち17人、なんと3人に1人がReview Santa Feに過去参加した写真家だという。確かに50作品のうち、今年のSanta Feで知り合った写真家の作品がいくつもあった。アメリカのような巨大な国、広大な土地、根底が厚く幅広い写真文化においても、本流となる何かが密接に繋がっていて、それは決して閉じるでもベールに包まれるでもなく、常に開かれており、来るものを待っているというスタンスを感じる。



★Critical mass 2013 Top 50の作品は、2014年3月にサンフランシスコのCorden|Potts Gallery、5月にはヒューストンのHouston Center for Photographyで、George Eastman HouseのJessica Johnstonのキュレーションによって、企画展示される。