パリにて(2)
出展ギャラリーの人に聞くと、フランスは今景気が悪く写真も売りにくいという。ギャラリーも写真家も厳しい状況に置かれているとこぼし気味。会期半分、42あるブースのうち売れているブースは4〜5ぐらい。
ベビーカーを押す人、犬を連れてくる人、高校生、高齢者など、年齢、職業、国籍、階層に関係なく写真を見にくる。写真を含めて芸術が生活に染み込んでる感じ。
見るプロに「良かった」と言われるのも嬉しいけど、普通のおばあちゃんがじっくり見て「感動した」と言ってくれるのも同じぐらい嬉しい。
海外に来ると、自分がいかにシャイで真面目な典型的日本人かよくわかる。
初日のレセプション、無料で置いたポストカードがあっという間に100枚無くなった。在庫がヤバいので2日目から1€で売ることにした。写真が気に入ったから持っていくということではなく、チラシやカードなどもらえるものは全部持って帰るっていう文化みたい。
他のブースを見て回るのが楽しい。ブラジル、トルコ、チェコ、ロシア、インド…でも写真をひと目見てそれとわかるブースは少ない。
ステートメントは別にアカデミックなものでも、見るプロのためのためでも何でもなく、文化や生活の異なる人に普通に作品をわかってもらうための必需品だと思う。
ステートメントやキャプションは英語にしたけど、今から考えるとフランス語を併記しておけばよかった。
主催者が作成したカタログの出来が素晴らしい。オールカラーで各作家を6ページも使って紹介している。25€。
写真家は、こうした華やかな世界と孤独な創作活動の世界を行ったり来たり。この極端さのバランスが身体にマッチする人が優秀な写真家というのかも。